プロスポーツと地域住民の距離が近い街「地域の夢と希望の動力源になれれば」

赤井 秀行さん (栃木SC職員)

J2所属のプロサッカーチーム「栃木SC」で選手として活躍後、フロントスタッフに就任。現在は選手経験を活かしてチーム運営をサポートするほか、ピッチ外での活動も積極的に行うなど地域に根を下ろしたチームづくりに励んでいる。

所在地
宇都宮市在住
宇都宮 Iターン 入団・就職 千葉県内

ダブルプレイスの仕方

栃木SC選手時代はユーティリティープレイヤーとして活躍。1対1の局面での、粘り強いディフェンス力を武器にチームに貢献する。その後、現役引退と同時にフロントスタッフに就任し、地域とチームの架け橋としてホームタウン活動に従事。イベントなどを通じ、サッカー文化の普及やジュニア選手の育成を目標に、栃木県全域を駆け回っている。

  • 栃木SCとサポーターの距離が近いことに驚いた

    千葉県柏市の出身で、現在は栃木SC職員として働く赤井秀行さんが宇都宮に訪れたのは、流通経済大学サッカー部時代のこと。当時、流通経済大学は栃木SCと同じJFLに所属していたが、グリーンスタジアムで対戦した際、その求心力の高さに驚いたという。「栃木SCサポーターの熱気に圧倒されました。宇都宮ってサッカー愛の強い地域なんだな、って。そんな印象を受けたんです」。そう語る赤井さんが、再び宇都宮を意識したのは、大学卒業後の進路を考えていたい時期のことだった。「将来の選択肢はいくつかありましたが、やはり『サッカーの道で生きていく』のが小さい頃からの夢。そんな僕に、幸運にも栃木SCが声を掛けてくださって…。で、『あの宇都宮で、あのチームで戦ってみたい』という想いを強く感じたんです」。当時の栃木SCは、J2昇格を目指し懸命に取り組んでいた時期。「そのような状況の中で『一緒に頑張ってくれないか』と言葉をいただいて…。気づいた時には『はい、よろしくお願いします!』と即答していました。より上を目指そうと頑張っているチームで自分の力が役立つのであれば、サッカー人としてこんなにうれしいことはないですから」。

    ユニフォームを脱ぎ、スーツに袖を通すことも多くなった赤井氏だが、サッカーと宇都宮を愛する心は生涯現役。今も心の奥底に流れる熱い情熱は変わらない。

  • 2008年に栃木SC加入し、2015年までの9シーズンに渡り活躍。チーム在籍最長選手として「Mr.栃木」の愛称を持つ。J2では163試合に出場し、ディフェンダーながらも6得点を記録している。

    J2昇格の瞬間、
    その喜びをサポーターと分かち合った

    意気揚々と入団した栃木SCだったが、当初は厳しい現実に直面することも多かったという。「メンバーの中には元Jリーガーもいましたので、プロ選手のレベルの高さに圧倒されました。強豪大学出身とはいえ、やはりその差は歴然でしたから、最初はもうひたすら練習に明け暮れる毎日。へこたれている暇なんてありませんでした」。やがて地道な努力が実り、赤井さんはディフェンダーとしてのポジションを固めていく。それと軌を一にしてチームも波に乗り、ホームゲームでは連戦連勝。やがて迎えた運命の第34節・J2昇格戦は、またしても栃木県グリーンスタジアムが舞台となった。試合の前半は3-1で折り返し、後半はサポーターの声援も後押しとなって失点0、3ゴールを奪取し6-1と圧勝。ついに悲願のJ2昇格を決めた。「ピッチで迎えたあの瞬間、スタジアム全体が強烈な一体感に包まれていました。それは、何ものにも代え難い大切な経験です。このチームに入って良かったと心底実感しました」。
    その後J2でもレギュラーとして活躍してきた赤井さんだったが、小さなケガが重なり出場機会が減った2015年、栃木SCも最下位に転落。最終節のコンサドーレ札幌戦に敗れJ3降格が決定した。「戦績が低迷する中、戦力として貢献できないことがもどかしかった。メンバーやスタッフはもちろん、何よりそんな時でも前向きな言葉をかけてくれるサポーターに申し訳ない気持ちで一杯でした。そう語る赤井さんは、その後栃木SCのフロントスタッフに就任。「昇格と降格の差、J2とJ3の差を直接的に肌で感じることができた。両者の間には想像以上の大きな壁があるんです」。赤井さんは今、あの頃の試練をプラスに受け止め、現役で頑張る選手たちを縁の下で支えている。

  • 宇都宮に暮らすことで感じた子育てのしやすさ

    引退後も家族とともにこの街で暮らすことを決意した赤井さんにとって、宇都宮は住みやすい街だという。「とにかく生活していて困ったことがありません。休日は家族とショッピングに出かけることが多いのですが、大型施設やスーパー、小さな専門店まで充実している。東京へのアクセスも良いし、それでいてちょっと郊外まで足を伸ばせば自然も豊か。子どもの医療費助成など支援制度も整っていますし、幼稚園や保育園も多いので子育て世帯にやさしい街だと思います」。

  • チームはボランティアスタッフによって支えられている

    多くのボランティアやスタッフのおかげで、試合運営が滞りなく進めることができています。現役時代はまったく知りませんでしたが、選手以外のメンバーは7時間前には会場入りして準備を行います。それでいて、試合中はゲーム観戦することもままならない。試合収容簿も後片付けなどの業務が待っており、会場を出るのは試合終了の4時間後。決して楽ではありませんが、それでもみんなが頑張れるのは『ベストな状態で選手に戦ってもらいたい』という情熱を共有しているから。特に無償で協力してくれるボランティアの皆さんには頭が下がる思いです。幸い栃木県内にはプロスポーツチームが多く、互いに仲も良い。機会があればフロント同士で交流を通じ、ボランティアスタッフとの関わり方について意見交換をできれば、と考えています。

  • J1昇格を目指し、
    地域とチームの絆づくりに励んでいます

    現在、赤井さんはホームタウン担当として、サッカー教室などのイベントを通じ、地域に暮らす人々とチームとの交流を推進している。「より愛されるクラブになれるよう、陰ながら尽力しています。皆さまから届く温かい声援が何よりの励みになることを、自分自身の経験として知っていますから。それに、地域との結びつきが強いチームには、強い選手が進んで加入してくれる。スポーツを通じて観客が感動してくれるのと同様に、選手もまたサポーターの熱い気持ちに感動するんです。だからこそ僕は、この街にもっとサッカーを根付かせたい。選手・サポーターともに層が厚くなればチームの実力も向上し、J1昇格だって視野には入ってくるはずです。宇都宮にはその土壌がすでにありますから、そうなる日も遠くないはずです。選手時代、多くの皆さまに支えてもらってきたからこそ現在の僕がある。だから現役を退いた今こそ、僕が恩返しをする番。どうしたら地域の人々に喜んでもらえるか、いつもそればかり考えています」そう語る赤井さんは、あるイベントの企画を温めている。それは『グリスタ合コン』だ。「グリーンスタジアムを会場に婚活イベントをやれたら楽しそうでしょう。スタジアムで出会った二人がサッカー観戦デートをして、将来的には子どもと一緒に試合に足を運んでもらって…。で、『パパとママはここで出会ったんだよ』なんて子どもに話せたら素敵ですよね」と、スポーツマンらしいさわやかな表情で赤井さんが笑った。

    栃木SCは地域密着型クラブを目指し、イベントやサッカー教室などのホームタウン活動を実施。宇都宮市内の中学校で行われている学習プログラム「社会人先生に聞く」では、講師として「感謝の気持ち」の大切さを伝えた。

宇都宮の「イイトコロ」をひと言でまとめると

サッカー以外にもプロスポーツチームが多く、本当の意味での「地域密着」を実現している。スポーツの道を目指す子どもたちにとってもプロアスリートとの交流が有効に機能していて、夢と希望の動力源になっていることを日々の活動の中で実感しています。

100年先も誇れるまちを、みんなで。 宇都宮プライド