佐々木 今日子さん(飲食店経営)
静岡県下田市出身・宇都宮市在住。
宇都宮市中心部にある「フダンカフェ(fudan cafe)」オーナー。フードコーディネーターの資格も持つ。
店では食だけでなくライフスタイル全般を提案している。
- 所在地
- 静岡県下田市出身・宇都宮市在住
静岡県下田市出身・宇都宮市在住。
宇都宮市中心部にある「フダンカフェ(fudan cafe)」オーナー。フードコーディネーターの資格も持つ。
店では食だけでなくライフスタイル全般を提案している。
佐々木さんの出身は、静岡県下田市。伊豆半島の南部にある、人口約2万人の静かな街だ。江戸時代にペリーが来航したことでも有名で、これが明治維新の引き金のひとつとなった。川端康成の名作『伊豆の踊子』の舞台にもなっている。「山と海に囲まれた、静かな町ですよ。温暖でのんびりした港町です」と話す佐々木さん。この街で、高校卒業までの18年間を過ごした。今でも、時間さえあれば帰郷するという。
東京の大学に進学した佐々木さんは、そこで現在のご主人と出会い、学生結婚をしてそのまま宇都宮へ住み始めた。というのも、ご主人の実家は宇都宮市の老舗呉服店だったのだ。「主人は結婚の少し前に実家に戻っていたので、結婚と同時に私も宇都宮に移りました。大学4年生は、宇都宮から通いました。その時は当たり前に思っていましたが、今考えるとよく通いましたよねえ(笑)」
「より多くの人を受け入れられるお店作りを」と話す佐々木さん
開かれた明るい雰囲気の店内で、ゆっくりとした時間を提供している
佐々木さんは結婚後すぐにフダンカフェをオープンした。
「大学卒業前の、2002年に開業しました。それから15年、おかげさまでお店を続けさせていただいています」
カフェを開いたきっかけは「大学生の頃は、生活の中にカフェがあるのが当たり前だったんです。でも宇都宮に来た当時、街中にはあまりカフェがありませんでした。身近な場所にカフェがあるといいだろうな、と思ったことがフダンカフェのスタートになりました」
フダンカフェでは、厳選された豆を使って淹れたコーヒーや手づくりのケーキ、味だけでなく栄養価も高い食事メニューなどが、すみずみまで気配りされた店内でお客様に提供されている。メニューは数年に一度、全面的に見直され、時代に合わせたおいしさを常に追求している。佐々木さんがめざしたのは、喧騒から離れられる街中のオアシスだったという。フダンカフェは店名のロゴに「for modern living」という言葉が入っている。「食べ物だけでなく、衣食住の新しい提案ができる店という気持ちで、つけました。ふだんから来ていただけて、ゆっくり過ごせて、新しい発見や出会いもあるお店です」
「15年間、本当に楽しく過ごしてきました」と言う佐々木さん。特に思い出に残っているのは、東日本大震災の時のことだという。
「地震の翌日から営業していたのですが、お店が満員になって。電気も来ていない、エアコンも止まっている状況の中で、皆が肩を寄せ合うようにコーヒーを飲んでおられた光景は忘れられません。きっと『フダンカフェに行けば誰かがいるんじゃないか』という思いで来られたのでしょう。あんな時でしたけれども、そう思って来ていただける場所になっていることに、カフェがあり続けることへの使命感のようなものを感じました。これからも出来る限り続けていきたいと思ったきっかけでもあります。」現在のフダンカフェには、佐々木さんのそんな思いも詰まっている。
佐々木さんに宇都宮の良さをたずねると「街が大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいい広さだと思います。自然も豊かですし、一方で商業施設も多いですから、住むにはすばらしい環境だと感じています。欲を言えば、公共交通機関がもう少し充実してくれると、いいですね。それから、東京ではずいぶん普及しているシェアサイクルが登場してくれると嬉しいですね。仕事や、子供と遊びに行った時に利用しているのですが、あれは宇都宮にぴったり合うと思います」
下田と宇都宮、2つの街のどちらにも愛着があるという佐々木さん。「宇都宮はもちろんホームタウンですが、下田は離れていても気持ちが落ち着く心のホームタウン。どちらも大切な街です」
個性ある人たちが多く住んでいる街です。
生活にも仕事にも便利でありつつ、自然にも恵まれた街です。