自分を育ててくれた街 「スポーツ観戦を身近に楽しめる街づくりに貢献していきたいです」

久保 成稔さん(グラフィックデザイナー)

宇都宮ブリッツェン事務所内にデザインオフィスを開設。
同チームのオフィシャルグッズ 制作を中心に、スポーツに特化したデザイン業務を行っている。

所在地
益子町出身・宇都宮市在住
宇都宮 栃木県内

ダブルプレイスの仕方

栃木県内の印刷会社で働きながら、スキルアップのために宇都宮のデザイン専門学校へ。宇都宮の広告会社で経験を積んだ後、グラフィックデザイナーとして独立。自転車ロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」のクリエイティブディレクターとしても活躍している。

  • 憧れの街、宇都宮で働く

    栃木県東部・益子町出身の久保さんは、「子どもの頃の自分にとって、宇都宮は憧れの都会。その場所で今、自らのスキルを活かした仕事をさせてもらっていると思うと、何だか不思議な気持ちなります」と話す。
    県内の専門学校卒業後、地元の印刷会社に就職。デザインの現場で働きながら、スキルアップのために宇都宮のデザイン専門学校へ。宇都宮の制作会社や広告代理店で経験を積み、2005年に独立。「一度は自分の力を試してみたい。そんな想いがずっとあって…。ちょうど30歳を迎える頃だったので、これが最後のチャンスかなと」
    スポーツに関わる仕事に興味があった久保さんは、県内各地のスポーツショップへ営業に出向き『チームロゴやキャラクターのデザインの依頼があればぜひ!」と声を掛けまくる。そんなある日、久保さんに運命の出会いが訪れた。「オリジナルTシャツのショップで、店のオーナーが宇都宮ブリッツェンを立ち上げたばかりの廣瀬佳正選手(当時・現GM)を紹介してくれて。『マスコットキャラクターのデザインやらせてください』と伝えたら、廣瀬選手も『いいですね!』と言ってくれたんです」
    久保さんはこれを社交辞令に終わらせなかった。「せっかくのチャンスを逃したくない」と、すぐに仕事に取りかかったのだ。そしてあっという間にデザインを仕上げた久保さんは、早々にチームに提案。その仕上がりに満足した廣瀬選手は、またもや『いいですね!』と即決、その場で採用に至った。それが、宇都宮ブリッツェン公式キャラクター『ライトくん』誕生の瞬間である。

    「プロスポーツに特化したグラフィクデザイナー」という独自のポジションを確立。宇都宮を拠点に全国的に活躍している。

    宇都宮ブリッツェンの公式マスコット「ライトくん」のデザインを担当。久保さんにとって人生の転機となった記念碑的キャラクターである。

  • チーム名「ブリッツェン」はドイツ語で「雷」の意味。そこに「雷都・宇都宮」を重ねたダブルミーニングが「ライトくん」という名前の由来。

    宇都宮を拠点に、全国のプロスポーツグッズの
    デザインを手掛ける

    ライトくんのデザインを切っ掛けに、ブリッツェン事務所内にオフィスを移転。チームグッズのデザイン業務を担当する傍ら、地元チームに特化したフリーペーパーのデザインにも携わるなど、スポーツ系デザイナーとして名前が知れわたるようになった久保さん。徐々に実績が評価され、栃木SCやリンク栃木ブレックスなど、他のチームからの依頼も増えていった。現在はその人脈を通じ、各チームのスポンサー企業からの仕事まで幅広く活躍している。
    「何もやらなければ、何も起こらない。まずは行動することが大切」。これまでの経験を通じ、そう語る久保さんは今、全国各地のチームにも活動の場を広げ、J1やBリーグなど選手の似顔絵をモチーフにしたSNSスタンプやキーホルダーなどのデザインも手掛けている。

  • 宇都宮はプロスポーツファンにとっては
    理想の地域

    宇都宮には現在、自転車の宇都宮ブリッツェン、J2の栃木SC、Bリーグのリンク栃木ブレックスの3団体が本拠地を置いている、それぞれ異なった競技種目であるためチーム間はもちろん、サポーター同士も交流が盛ん。仲間としてライバルとして、互いを意識し合いながら地域全体のスポーツ活動を盛り上げていこうという機運に満ちている。
    地元密着型スポーツチームがこの街に根付いたことに「宇都宮は市民の関心も高く、関係者やファンの間でもチーム運営成功のモデルケースとして全国的に知られています。そういった土壌もあって、ブレックスの田臥勇太選手や栃木SCの大黒将志選手など、レジェンド級のプレイを間近に見られるほどに。また、国内最高峰のジャパンカップサイクルロードレースも行われることから、自転車愛好家からは「聖地」として認知されています。ジャパンカップでは、ツール・ド・フランスなどで活躍する世界ランカーが、手を伸ばせば届きそうな距離を駆け抜けていくんです。スポーツ好きにとって、こんなに恵まれた街はありません。」と久保さんのボルテージも上がる。

    久保さん自らライトくんに扮することも。「自分がデザインしたキャラクターに子どもたちがよろこんでくれる。着ぐるみに入ると、その様子を最短距離で感じられる。その瞬間がたまらなく幸せ」と話す。

  • スポーツを通じて宇都宮の魅力を発信したい

    「都道府県魅力度ランキングで栃木県の評価が低いのは、僕自身も歯がゆさを感じます。だからこそ、県庁所在地である宇都宮の魅力をスポーツを通じて発信していきたい。 それが、自分ができる宇都宮への恩返し。今の僕があるのはこの街のおかげです。宇都宮は僕を育ててくれた街なんです。」
    久保さんのこれからの目標は、もっと多くの方に試合会場に足を運んでもらうこと。「ライブでしか味わえない独特の雰囲気を感じて欲しい。チームを応援する観客同士の一体感や、記録に残る瞬間を目撃できる臨場感こそスポーツ観戦の醍醐味。とにかく大声を出して応援するだけでも、非日常の体験です。選手とのふれあいの場を増やすための情報発信なども積極的に行い、スポーツ観戦を身近に楽しめる仕掛けづくりに貢献していきたい」と熱く語る。
    これからも各チームと連携しながら、久保さんの夢は続いていく。

宇都宮の「イイトコロ」をひと言でまとめると

地元に根付いたプロスポーツチームが多く、一流選手のプレイを身近に観戦できること。ファン同士の交流も盛んで、スポーツを通じた街づくりに大きな可能性が感じられます。

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